法人口座の開設は法人にとって必ずしも必要ではなく、個人の銀行口座を使って事業をすることも可能です。しかし、法人口座を作るメリットは大きく、会社設立と同時に法人口座を開設することがほとんどでしょう。
そこで、法人口座を開設する際に重要になるのがホームページの制作です。今回は、とくに中小企業が法人口座を作るのに必要なホームページ制作のポイントについて解説します。
目次
法人口座は厳しい審査があるので簡単には作れない
法人口座は個人口座よりも厳しい審査を受けなければならず、審査に落ちてしまう場合もあります。
なぜ厳しい審査があるかというと、口座の不正利用を防ぐことが銀行によって防止されているからです。具体的には「マネー・ローンダリング」の防止が主な目的です。
マネー・ローンダリング対策とは?
マネー・ローンダリング(=資金洗浄とも言う)を簡単に説明すると、犯罪や不正行為によって得たお金を、1度別の場所に移動させてから現金化するなど、お金の出どころをわからなくすることです。
犯罪で得たお金をそのまま使うと身元を特定されて逮捕されてしまう可能性があるため、架空の会社や他人の口座を使って別の名目でお金を振込み、お金の行方がわからないようにするのです。
法人口座は、実在する個人口座よりも、架空の法人名義(ペーパーカンパニー)を使う方が犯人を特定されるリスクが減るため、マネー・ローンダリングに使われやすい傾向があります。
そのため、法人口座を作る目的を厳格にチェックし、口座の不正利用を防ぐようにしているのです。
法人口座を開設するメリット
では、厳しい審査があっても法人口座を開設するメリットはどこにあるのでしょうか。
会社のお金の流れを管理しやすくなる
法人口座を開設する最大のメリットは、会社のお金の流れが通帳を見るだけですべて把握でき、管理しやすくなることです。どのような入金があり、何に支払ったのか、不明なお金の流れも一目瞭然となるので非常にわかりやすくなります。
一方で、個人口座の場合、プライベートのお金のやり取りも行っていることも多く、法人に関わるお金の流れを把握するのも面倒です。
また、法人向けのインターネットバンキングを利用すれば会計ソフトとの連携も可能です。
インターネットバンキングは、24時間365日利用可能なので、窓口での待ち時間もなく、いつでも必要なタイミングでお金のやり取りができるようになります。
入出金との連動もあるため、日々の経理業務がスムーズになり、帳簿作成も自動化できるため、決算時の余計な手間も少なくなるでしょう。
社会的信用が上がる
法人口座があるだけで、社会的な信用度にも大きく影響します。
BtoBの取引先においては、振込先を指定する際、ほとんどが法人口座を指定しますが、個人口座だと「小さい会社」や「プライベート資金」と思われ、信頼に影響する可能性があります。
ほかにも、税務署からも「個人資金」と「法人資金」を分けて管理しているという観点から、法人口座を利用するほうがイメージが良くなることが挙げられます。
資金調達が実施しやすくなる
法人口座を作っておくことで、金融機関から融資を受けやすくなるというメリットもあります。
金融機関は、「返済能力の有無」を見て融資をするか検討しますが、法人口座のほうが評価が高く、融資が受けやすいのです。
今後、事業拡大でまとまった額の融資を検討している場合は、法人口座のほうが有利と言えるでしょう。
法人名義のクレジットカードを作成できる
法人口座を開設することで、法人名義のクレジットカードが作れることも大きなメリットの1つです。
個人名義のクレジットカードを使う場合、経費の立替になり会計処理に手間がかかります。一方、法人名義のクレジットカードなら、会計ソフトとも連動しやすく、お金の流れも分かりやすくなるというメリットがあります。
また、クレジットカードに付帯するサービスを受けることも可能です。たとえば、経営コンサルティングの紹介や経営相談、海外出張サポートなども利用できます。
法人口座開設に有効なホームページ
法人口座開設にあたり、ホームページが必要となる大きな理由は法人口座を開設しやすくするためです。
会社用の公式ホームページがあることが、法人口座開設するときにも確認される項目の1つとなっています。
法人口座審査のためのホームページ制作のポイント
最後に、法人口座審査に役立つホームページ作成のポイントを確認しておきましょう。次のような項目がきちんと記載されていると、内容として信用度が上がります。
- 代表者の経歴
- 資本金
- 会社の所在地
- 事業内容
- 情報開示(安心できる企業かどうか)
ホームページでは、事業内容や問い合わせ窓口など、一般公開されている情報を判断しているほか、ホームページ自体が「資産」として評価できるという材料の1つになっています。
ホームページへの記載内容の詳細
法人口座審査で確認されるのは、主にホームページの記載内容です。審査基準は金融機関ごとに異なり、基準も公表されていません。
- 会社概要:法人名、本社所在地、連絡先(電話番号、メールアドレス)、代表者・役員の名前、資本金の金額
- 事業内容:取り扱う商品やサービスの内容、価格、購入方法など
つまり、会社の詳細情報やどのようなビジネスをしているかを、詳しく記載する必要があります。
これは、ビジネスの実態があるかどうかを確認するために必要な情報となります。最初に解説した「マネーロンダリング」が大きく影響するのですが、いわゆる「怪しいお金を得て不正取引をしないか」も判断しているのです。
最後に、実際に審査を受ける銀行のホームページ上で記載内容については書かれていることが多いので、審査を受ける前に記載漏れがないか確認しておくことをおすすめします。
ホームページ記載内容で特に重要なポイント
ホームページに記載する際、特に重要となるポイントが3つあります。
- 本社の所在地
- 事業内容
- 資本金の金額
本社所在地は、申込内容と登記書類の住所が一致していることが重要です。バーチャルオフィスなどを利用しているケースは、賃貸契約が結ばれていることを示す書類を準備しておくと良いでしょう。
また、事業内容が曖昧、幅広い事業を行っている場合、事業の一貫性を記載することを心がけると良いでしょう。
最後に、資本金の金額ですが、あまりに資本金が少ないと不正利用を疑われることも。事業内容によって最低資本金額はことなりますが、目安として最低でも100万円ほどの資本金を用意しておくと良いでしょう。
ドメイン選び
ホームページ制作にあたり、重要になるのが「ドメイン」です。ドメインとは、URLの末尾にあたる部分で、「.jp」や「.com」「.co.jp」などがあります。
ドメインはホームページ制作前に取得する必要があり、通常は「企業名」や「ブランド名」を利用することがほとんどです。あまり奇抜なドメインや意味のない文字列を利用すると、信頼できないページと思われてしまうため、避けたほうが良いでしょう。
また、すでに使われている名前は利用できないため、ホームページ制作が決まったら先に取得しておくことをおすすめします。
ホームページを持つことで透明性が高まる
法人口座開設の審査を通過するには、ホームページがあると有利に働きます。
実はホームページを持っていなくても法人口座を作ることは可能ですが、代わりとなる「ビジネスの実態を確認できる書類」が必要となるなど、ホームページがあるとないとでは口座開設の難易度が大きく変わってくるということは理解しておきましょう。
これから法人口座開設を考えているなら、この機会にホームページ制作をしてみてはいかがでしょうか。