企業ブログを始める目的とは~会社のPR、広報、マーケティングにどう役立つのか

企業ブログを始める目的とは~会社のPR、広報、マーケティングにどう役立つのか

企業の広報活動において、ブログは強力な武器になりえます。企業ブログとは、日々起きたことなどを書いていくデジタル新聞やデジタル雑誌のような役割を持つWebサイトのことです。

ブログ内で事業内容を紹介することで、消費者や顧客にPRすることもできます。また企業ブログをSEO対策やマーケティングに活用することもできます。

企業ブログを始める理由

企業ブログはなぜ必要か?

多くの芸能人やインフルエンサーがブログを執筆していますが、その目的は自分の内面やプライベートな活動を知ってもらうことにあります。テレビなどのマスメディアに登場したときの自分と異なる活動をブログで紹介することができます。

ブログの購読者は新しい一面を知ることで、相手の人間性や親しみやすさを感じ、ますますその芸能人を好きになり、応援したくなります。

企業がブログを始める理由も、これと同じ効果を得られることが理由の1つです。

企業活動をより広く公開できる

一般的に消費者や顧客は、製品を購入することや、サービスを体験することで、その企業を知ることができます。そして、製品やサービスを通じて、その企業を好きになったり嫌いになったりします。

しかし企業の価値は、本来は世の中に出した製品やサービスだけでは決まりません。例えば地域貢献をしている企業は、たとえ世間にそのことが知られていなくても、その分だけ企業価値を向上させているはずです。

企業には、外の人からみえない多くの知見が内包されています。それをブログで紹介することで、より多くの人に知ってもらうことができるようになります。

社内に蓄積された知見を公開できる

企業は、特定分野における独自のノウハウや知見などを内包しています。例えば、製薬会社であれば「薬を作ること」だけでなく、「身体に良い食べ物」や、「感染症予防のための注意事項」など、実務に関係すること以外にも様々な知見を内包していることが多いはずです。

そのような、専門家がおすすめする「健康に関する情報やアドバイス」は、ユーザーにとって役に立つ情報になります。

様々な分野における専門的な情報は、特定分野におけるポジショニングに役立つだけでなく、自社でメディアを用意することによって、インターネット上での権威性にも貢献します。

また、自社のメディアがハブ※1となり、より多くの人々に知ってもらうことによって、また新しいステークホルダーとのつながりに発展することもあります。

※1 「ハブになる」とは、ビジネスの領域においては何かの活動の中心もしくは主要な部分のこと、をいいます。

引用元:シマウマ用語集より

ユーザーからのフィードバックを得ることができる

ブログを通じて、SNSやお問い合わせフォーム、チャットボットなどからユーザーのフィードバック(反響)を得ることもできます。

例えば、企業が自社製品をPRするブログを書いたあとに、ユーザーから「機能の説明がよくわからなかった」というコメントがあったとします。すると企業側は、ユーザーがページの改善を求めていることを知ることができます。

インターネットは、発信者と受信者がつながることができる双方向性が特徴の1つです。この特徴は、消費者や顧客の意向を把握することに役立ちます。

ユーザーからのフィードバック(反響)によって、製品やサービスの品質改善ができることと同じように、ユーザーの率直な反応を得ることは、情報発信の品質改善をするために役に立ちます。

情報資産の量が増え、人材育成につながる

企業がブログを書き続けていくと、それ自体が情報資産になります。

また、企業ブログの執筆者になる広報担当者は、自社製品・サービス、方針、顧客のことをしっかり調べて書くことになるので「企業活動全体」について、よく理解できるようになります。

企業ブログを実施するメリットとデメリット

企業ブログ運用のメリットとデメリット

ブログを運用するメリット

上記で紹介したものも含め、企業ブログのメリットには次のようなものがあります。

企業がブログを始めるメリット

  • 社内の知見を公開できる(権威性の向上)
  • 広報業務、PR業務、マーケティング業務を強化できる(人材育成)
  • 情報量を増やすことができる(SEO対策やマーケティングチャネルの拡張)
  • 伝えたいことを伝えたいときに伝えたい内容で伝えることができる(情報発信の利便性)
  • ホームページやSNSで表現しにくいことを情報発信できる(広報活動の柔軟性)

企業は、消費者や顧客とつながるチャネルを増やすことで、認知度を向上させることができるようになります。

ブログを運用するデメリット

企業ブログを運用するデメリットは、手間とコストがかかることです。ブログ記事を書くためには、記事を執筆するスキルや、何を情報発信するかの検討が必要になるため、担当者は時間を使って作業を行う必要があります。

もしアウトソースで記事を作成する場合でも、企業が内包するノウハウを記事にすることは、外部の人間には難しい作業です。そのため、企業に在籍する誰かが窓口になり、外注業者と連携しながらブログを運営するなど、計画的な対応を行っていく必要があります。(予算編成や、更新頻度、KPIなどの数値目標設定も必要です)

ブログと他のメディアとの違いについて

企業ブログは情報発信ツールなのでホームページやSNSと似ていますが、明確な違いもあります。メディアごとに特性を理解して使いわけることが大切です。

ブログとホームページの違い

ブログとホームページの違い

ホームページには企業理念や企業情報など、変動しずらい静的な情報を配信することを主な目的としていますが、これらの情報は頻繁な変更が発生しません。ホームページは長期にわたって変わらぬ企業価値を伝えるのに適したメディアになります。

一方の企業ブログは、頻繁な更新が期待され、内容はバラエティに富みます。例えば3日間限定でキャンペーンをするような場合でも、ブログで告知することができます。

ホームページの場合、改修や情報の追加に手間とコストがかかる場合が多いですが、ブログ場合、ほとんどコストをかけずに新しい情報を掲載することができます。情報発信の機動力と速効性を発揮したいときは、ブログの方が有利です。

ブログとSNSの違い

SNSとブログの違い

ブログにもユーザーとの双方向の要素がありますが、SNSの場合はそれがより強く出ます。

SNSには「拡散」という機能があり、フォロワーを持つユーザーが情報拡散を行うことで、情報が広範囲に拡散しやすく、時に「炎上」といったネガティブな情報発信につながる可能性もあります。

SNSの場合、配信側が意図しないリアクションが付与されたまま情報が拡散される可能性もあるため、センシティブな情報を扱う場合には特に注意が必要です。1度ネガティブなラベルがついてしまうと、剥がしづらくなるといったリスクもあります。

企業ブログの場合、推敲した文章を、SEOを意識しながら読み物やプレスリリースとして掲載することが多いです。情報の即効性や拡散性はSNSの方が高いですが、情報の深度ではブログの方が優位性があります。

企業ブログを収益化するには?

ブログのマネタイズ

ブログ運営は、「認知」や「ファン育成」など、目に見えない企業価値を生み出す活動でもあるため、かかるコストに対し、具体的な収益としての費用対効果を算出することは難しいです。

1つの運用アイデアとして、ECサイトとブログをつなげることで、売上アップ効果を期待することができるようになります。

例えば、企業ブログの商品紹介記事からECサイトに誘導することで、顧客はその商品について、より深い情報を得た上で購入ページを閲覧することができるようになるため、購買への訴求にもつながります。

また、企業ブログを始めたことでホームページへの流入が増え、問い合わせ件数が増えれば、それも企業ブログの功績ということができます。ホームページからの問い合わせを増やすことで、営業力の向上につながり、企業の経営力アップが期待できます。

広報担当者が企業ブログを始めるための準備

広報担当者

中小企業の場合、広報担当を専門で行っている人がおらず、普段からPC操作をしている事務員さんが広報担当になることも珍しくありません。では、企業ブログを担当することになった広報担当者は、どのように準備をして、どのようにブログ記事を書いていったらよいのでしょうか。

① 社内の情報を集める

情報発信(アウトプット)を行うためには、まず情報収集(インプット)の作業を行う必要があります。

企業ブログに掲載する記事は、新聞の記事と同じでニュース性を持つことが多いです。具体的には、「社内イベントや活動」「研修やワークショップなどで得た成果」「専門的なトピックス」「特定分野における情報のまとめ」などが該当します。

社内にしかない情報も色々とありますので、ヒアリングをしながら、どういった情報を外に出すかを話しあって情報収集を行います。

② 記事のテーマとトピックを決める

オウンドメディアとして企業ブログを運営する場合、専門性の高い記事を生産することで、Webマーケティングの効果も期待できるようになります。

専門性の高い記事とは、貴社の商品やサービスにマッチした「ユーザーの疑問を解決するための情報」や「ユーザーが知りたい情報」になります。

例えば、自動車保険を扱う企業であれば、「自動車保険の更新方法について」「自動車保険を安くするためには?」「自動車保険を解約するには」など、検索されやすキーワードを選定して、どういった記事を書くのかを決めていきます。

さらに、複数記事を1つのカテゴリーにまとめるために「テーマ」や「トピックス」といった分類を行い、より広範囲に深い情報を生産できるよう、情報の整理整頓も意識しておくと、より利便性の高い情報メディアになります。

③ キーワードを決めて書く

キーワードの選定の方法は、「キーワードツール」というWebマーケティング用のツールを使うと便利です。

Google広告サービスへの申し込みが必要ですが、「キーワードプランナー」というツールを使うと、特定キーワードの月間検索ボリューム数や、競合性、類似キーワードなどを調べることができます。

キーワードの月間検索数だけを調べるなら、こちらのツールでも調査が可能です。
aramakijake.jp

なぜキーワードの調査が必要かというと、ユーザーの興味がない検索キーワードに対して記事を書いても、閲覧する人が少ないまま終わってしまう可能性が高いためです。

ですが、よく検索されているキーワードは「ビッグキーワード」と呼ばれ、競合性は非常に高いです。そのため、せっかくブログ記事を用意しても、検索結果に表示されず、埋もれてしまう可能性もあります。

「競合性が少なく、ほどよく検索されているキーワードで、かつ自社のサービスや商品と紐づいているテーマ」を取り扱うことで、生産価値の高い記事を作成することができるようになります。

④ マーケティングツールを使って運用する

ブログは、新しい記事を量産するだけではなく、Google Analytics(解析ツール)などを使用して、アクセス解析に取り組むことも大切です。

アクセス解析を行うことによって、どのページがよく見られているか?どこからユーザーが訪問しているか?などの情報を分析することができるようになります。

また、Google Search Consoleを利用することで、ページのインデックス状況や、Googleロボットが吐き出したエラーの情報を得ることができ、SEOの改善につなげることができます。

これらの作業は、勉強して知識を身に着ける必要があるため、アウトソースで対応をするのか、社内のIT人材を育成するのかで対応が変わってくるところにもなります。

基本的なSEO対策(検索エンジン最適化)とキーワード検索対策の方法とは?
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効果がでるまでの時間は?

ブログで記事を作成した場合、Googleの検索ロボットがページの解析を行い、検索エンジンに登録(インデックス)されるまでにタイムラグが発生します。

読者をすでに獲得しているブログの場合は、SNSで配信告知を出すなどと合わせてアクセス数を集めることもできますが、まだ読者を獲得していないブログの場合、SEOでの評価を待つ必要があります。

SNSでフォロワーを増やし、ブログと組み合わせた運用を行うことで、オウンドメディア育成に大切な作業を同時進行で進めることができるようになるので、最低でも半年は期間を設定して、長期目線で運用を行うことが大切です。

ブログ記事をどう書くのか~PREP法で文章を組み立てる

効果的な記事の書き方

企業ブログ記事の構成は、PREP(プレップ)法で書いていくとよいでしょう。

PREPは、ポイント(結論)、リーズン(理由)、イグザンプル(事例)、ポイント(結論)の略です。結論から始まって結論で終わっている点に注意してください。

例えば、機能性が高い生地を使った新しい服を開発中であることをブログ記事にする場合、次のように書いていきます。

企業ブログ記事をPREP法で書く例

  1. 今、弊社で開発中の新作の洋服は、機能性が高い生地を使っています。→ 最初に結論を示す
  2. なぜ機能性を追求しているのかというと、~だからです。→ 理由を紹介する
  3. この生地は~という機能や~といった性質があります。→ 事例を紹介する
  4. 今はすべてをお伝えすることができないのですが、来月販売を開始するこの新作の服を着れば、きっと~できるはずです。→ 結論をもう一度述べる

PREP法をマスターすることで、あらゆる事柄や案件も、読者にわかりやすいブログ記事にすることができるでしょう。

まとめ

ブログ・SNS運用・ホームページ、でそれぞれの役割があり、それぞれを連動させていくことで、全体的なオウンドメディアの育成につながります。

ブログの場合、記事がメッセージボトルのようにインターネット上に存在し、いつか「誰かが検索したタイミングで相手の元に届く」ようなイメージです。情報は消さない限りインターネット上に残るため、いつか誰かが欲しい、と思ったときに、その相手のところに届くようになります。

SNSとは違い「すぐに誰かのもとに届く」わけではありませんが、今作成した記事が、少し先の未来にいる相手のタイミングで情報が届けられる可能性もあるため、将来出会う誰かとつながることができる、というイメージでぜひ運用してみてください!

ブログの運用におけるSEO対策についてはこちらも参考にしてみてください。
ブログのSEO対策は準備が8割!
㈱ニュートラルワークス