小規模事業者持続化補助金は第15回以降、独自システムを使った申請に切り替わりました。そのため、実績報告もオンラインでの対応が必要です。
「小規模事業者持続化補助金」に採択されたら、決められた期間までに実績報告を行う必要があります。この記事では、採択後の実績報告のための事前準備と報告資料作成の方法について詳しい内容を解説します。
目次
小規模事業者持続化補助金の実績報告の方法

小規模事業者持続化補助金に採択され、採択通知書を受け取ったら、事業計画に従って事業を行います。
その後、補助金を適切に受取るために、事業計画に従って事業を行ったという報告を行う必要があります。実績報告には沢山の提出書類が必要です。事前に把握しておいて、後から苦労しないように、事業を行いながら同時進行で集めておくと良いでしょう。
印刷した書類を郵送で提出する
小規模事業者持続化補助金 第15回以降、独自システムによる申請・報告に切り替わり、書面での報告はできなくなりました。
独自システムのマイページから電子報告する
独自システムでの報告に切り替わってから、システム内に報告専用のフォームが用意されたため、自分自身で実績報告用のExcelやWordの資料を作成する必要がなくなりました。
経費項目に関する証せき書類は、基本的には「PDF」を用意し、証ひょうごとにファイル名を付け、全部そろったらzipファイルなどに固めてわかりやすく報告するようにします。具体的には次の書類が必要になります。
小規模事業者持続化補助金の実績報告のために必要な書類

実績報告のために必要な書類は、応募枠や経費項目の内訳によって異なります。
システムで報告する前に、小規模事業者持続化補助金の申請時に作成した書類を手元に用意し、報告のための準備をしておきましょう。
実績報告書の作成方法
従来、WordやExcelなどで用意していた「補助事業実施概要(様式第8)」「経費内訳一覧(様式第8 別紙)」はオンラインでの入力になりました。各経費項目については、それぞれの内容にしたがって、複数の書類を用意する必要があります。
経費内訳一覧の作成方法
経費項目は、基本的には申請時と同じ項目を入力しながら、申し込み先や支払い先に合わせて分割して記述を行うなどの工夫を行います。
例えば、「ポスティング」を行う際に「チラシ印刷」と「ポスティング依頼」を別々の業者に依頼した場合、1つ1つ証ひょうを用意するとわかりやすくなります。(まとめられるものはまとめても大丈夫です)
もし経費の区分が変更になる場合、大きな修正でなければ(20%以上の変更でなければ)そのまま進めることができます。大きな変更がある際は、「変更許可」が必要になるため、事業を進める前に許可をとってから実施しなければいけません。
細かいルールについては、こちらにまとめてあります。

応募枠ごとに必要な書類について
賃上げ枠、卒業枠、インボイス枠で採択された場合、それぞれに必要な追加書類があります。
あらかじめ社労士さん等に確認し、どのような書類が必要になるかを相談しておくと良いでしょう。
必要な提出書類
- 「賃金引上げ特例」「賃金引上げ加点」で採択された場合
- 賃金引上げ枠に係る実施報告書(様式第8・別紙5)
- → 役員、専従者従業員を除く全従業員の労働基準法に基づく、直近1か月分の賃金台帳の写し
- → 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写し
- 実績報告書提出時点における直近1か月間の労働基準法に基づく労働者名簿の写し(常時使用する従業員のみ) ※政策加点で「小規模事業者卒業加点」を選択した場合のみ。
- 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し 該当者のみ。※インボイス特例を選択した上で、「適格請求書発行事業者の登録通知書の写し」または 「登録申請データの『受信通知』を印刷したもの」を添付していない場合
各経費ごとに必要な書類について
経費支出管理表に掲載する各証せき書類は、「日付」「内容」「金額」「発注先」「発注元(自分自身)」などの情報がわかるように書類を用意する必要があります。
相手先から「請求書」はもらったけど、「見積書」や「納品書」は提供がなかった、などの場合もあるため、事前に確認しておき、合わせて提供してもらうようにお願いしておくと良いでしょう。
また、取引によって現金での支払いもよくありますが、できるだけ銀行振込みで対応を行い、証せきが残るような形で対応をしないと後から困るケースもあります。
「事業前に必要書類を確認しておき、事業と一緒に書類も用意しながら進める」という方法がオススメです。
| 書類名 | 必須 | 記載項目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 見積書 / 仕様書 |
○ | 事業者名・取引先名・購入物名(内容)・金額・日付 | 市販品の店頭購入または中小企業同士の取引でない限り必要 |
| 相見積 | △ | 事業者名・取引先名・購入物名(内容)・金額・日付 | 発注総額が税込100万円を超える取引をする場合や、中古品の購入をする場合 |
| 発注書 | △ | 事業者名・取引先名・購入物名・日付・発注日・契約日・申込日 | 市販品の店頭購入(100万円未満)でない限り必要 ※発注・契約・申込日がわかること |
| 請求書 | △ | 事業者名・取引先名・購入物名・日付・発注日・契約日・申込日 | 市販品の店頭購入(100万円未満)でない限り必要 |
| 支払い 証明書 |
○ |
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| 成果物 確認書 |
○ | 購入物、制作物、成果物等が写っている写真や報告書等 | 購入した機械装置、広告を掲載した媒体、展示会出展時の様子、出張時の様子、試作品開発の様子、購入した図書、車両使用時の様子、外注工事の内容等を確認するために必要 |
| 経費区分 ごとの書類 |
○ |
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補助事業の手引き(第16回)により具体的な詳細が書いてあります。
実績報告後、差し戻しへの対応方法

実績報告を行って、1~2カ月すると事務局から通知が届きます。ほぼ1回目の報告でスムーズにいくことは難しいため、問題があった箇所を確認し、対応を行う必要があります。
差し戻しの情報を1つ1つ確認する
補助金も回号を重ねるごとに、差戻しの方法もわかりやすくなってきています。最近は不備の報告をまとめて1つのレポートにしてもらえるため、事務局から提供された「修正依頼書」を確認し、何が不足していたか?どこに問題があったか?を1つ1つ確認していきます。
基本的に「誤字脱字」「日付」「金額」「不足している書類」「取引内容と報告が合っていない箇所」などの指摘が入ることが多いです。
事務局の方も大量の資料を細かくチェックしているため、報告 → 差戻し → 再提出 → 差戻し を繰り返すと、補助金の受取りまでに時間も手間もかかります。できるだけスムーズに対応ができるよう、差戻しの内容はしっかり確認してから再提出しましょう。(時間をとられる作業になるため、予備日などを作っておくことがオススメです)
わからないことは事務局へ問い合わせる
修正依頼書を見てわからないことがある場合、直接事務局まで電話し、具体的に「何をどのようにすればいいか?」を問い合わせるのも1つの方法です。
わからないけど適当にやって、また差戻しになった場合、そこからさらに時間がかかってしまうため、できるだけ早く完了できるように1つ1つ丁寧に作業を行いましょう。
小規模事業者持続化補助金のスケジュール

申請から入金までのスケジュール
小規模事業者持続化補助金の基本的なスケジュールは、下記のような流れになります。
- 申請書類(事業計画書)の作成、応募 … 約1カ月
- 採択結果待ち … 約2ヶ月(不採用の場合、再度申請へ)
- 採択通知書待ち … 約1ヶ月
- 事業開始~実施 … 約4~5ヶ月
- 実績報告(事業が完了次第すぐに対応する)
- 実績報告の差戻し対応 … 約1~3ヵ月
- 補助金金額の確定、精算払い請求、入金 … 約1ヶ月
全体を通すと約10ヶ月~12ヶ月の期間がかかります。その間、かかった経費は自分で用意して支払う必要があるため、資金繰りや時間には余裕を持って対応を行う必要があります。
1年後に経過報告を行う
小規模事業者持続化補助金の入金があり、その後、1年経過すると、「事業効果および賃金引上げ等状況報告」の提出が求められます。
こちらの報告書は、wordファイルで事業経過をそのまま伝えるだけの内容になりますが、賃上げ枠で採択された場合、ここでも追加の資料提出が必要になります。
事業完了後も事業が継続できるように、持続していく必要があります。もし仮に補助事業の後に会社が閉鎖してしまったり、事業を中止するなどした場合は、その報告も必要になります。
できるだけ補助金事業を有効活用し、自社にとってプラスになる事業を行うことが大切です。そのためには、1番最初の事業計画の時点で有用な事業計画を立てる必要があります。
次回の補助金申請ができるタイミングはいつ?

小規模事業者持続化補助金に採択され、事業完了後、一定期間(約1年)が経過すると、また再びこの小規模事業者持続化補助金に申請することができるようになります。(※卒業枠で申請した経験がある場合、小規模事業者ではなくなるため、再度申請はできません)
再度申請を行う場合は、また新しい事業計画を用意し、他の補助金の申請と重複しない内容であることが条件です。
将来また別のアイデアを使って何か事業を検討する場合は、申請可能かどうかの条件を確認した上で、問題がなければまた同じように対応を行って、販路拡大や事業継続のための新しい取組みを始めることができるようになります。
