【小規模事業者持続化補助金】実績報告の手順について

【小規模事業者持続化補助金】実績報告の手順について

「小規模事業者持続化補助金」に採択されたら、実績報告を行う必要があります。

この記事では、採択後の実績報告のための事前準備と報告資料作成の方法について詳しい内容を解説します。

目次

小規模事業者持続化補助金の実績報告の方法

郵送または電子報告

小規模事業者持続化補助金に採択され、採択通知書を受け取ったら、事業計画に従って事業を行います。

その後、補助金を適切に受取るために、事業計画に従って事業を行ったという報告を行う必要があります。実績報告には沢山の提出書類が必要です。事前に把握しておいて、後から苦労しないように、事業を行いながら同時進行で集めておくと良いでしょう。

実績報告は、申請した方法の違いで「紙で報告する方法」と「電子(jGrantsによるオンライン)で報告する方法」の2パターンがあります。

実績報告書のフォーマットは公式サイトからダウンロードできます。採択された回号ごとに異なる場合があるため、採択された回号の報告書をダウンロードして利用するようにします。

印刷した書類を郵送で提出する

紙の資料をそろえて実績報告を行う場合、実績報告用の報告書一式をダウンロードし、ExcelなどはPCで入力後に印刷を行い、押印などの対応をします。

また、経費支出の必要書類は、「ラベルを貼るためのシール」「クリアファイル」「クリップ」などを用意し、できるだけ項目ごとにわかりやすく1つにまとめます。請求書や領収書などの証ひょうは「原本ではなくコピーしたもの」を用意します。

jGrantsを使って電子報告する

jGrantsで電子申請を行った場合、報告もjGrants上で対応する必要があります。実績報告書等はダウンロードしたものをそのまま使用します。(押印が必要な場合、印刷 → 押印 → スキャンで電子データ化)

それ以外の書類は、基本的には「PDF」を用意し、証ひょうごとにファイル名付け、全部そろったらzipファイルなどに固めてわかりやすく報告するようにします。

小規模事業者持続化補助金の実績報告のために必要な書類

必須書類一覧

実績報告のために必要な書類は、応募枠や経費項目の内訳によって異なります。

まず、基本的な書類を公式サイトからダウンロードし、そちらを準備しながら、必要な証ひょうも集めていきます。

実績報告書の作成方法

実績報告のための様式には次のようなものがあります。必要に応じて用意し、実績報告の際に提出します。

実績報告用 必要な様式

  • 実績報告書(様式第8)必須。採択時の情報を正確に入力します。
  • 経費支出管理表(参考様式)および支出内訳書必須。Excelのフォーマットを利用します。
  • 収益納付に係る報告書 該当者のみ。補助事業を行って収入が発生した場合に提出。(収入額に応じて補助金の返金も必要)
  • 取得財産等管理明細表(様式第 11-2) 該当者のみ。(取得した財産が、1件あたり税抜50万円を超える場合。設備投資も含む)
  • 「賃上げ枠」で採択された場合
    • 賃金引上げ枠に係る実施報告書(様式第8・別紙5)
    • 実績報告書提出時点における直近1か月分の、労働基準法に基づく賃金台帳の写し
    • 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日について、時間・日数が具体的に特定できるもの)が記載された書類の写し
  • 「卒業枠」で採択された場合
    • 実績報告書提出時点における直近1か月間の、労働基準法に基づく労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)
  • 「インボイス特例」で採択された場合
    • 申請時に適格請求書発行事業者の登録通知書の写し、もしくは登録申請データの「受信通知」を印刷したものを提出していない事業者は、適格請求書発行事業者の登録通知書の写し

また、経費支出管理表に従って、それぞれの経費項目に対し、証拠書類を用意する必要があります。

証拠書類(経費区分によって異なる)

  • 見積書(価格が税込100万円を超えるまたは中古品購入の場合、アイミツも必要)
  • 発注・契約書(自社で発行する書類。購入日、発注先、発注内容等が確認できるもの)
  • 納品書(相手先から提出される納品書または検収書)
  • 請求書(相手先から提出される商品、金額など支払いに関する情報が含まれるもの)
  • 支払い確認書(銀行の振込記録、領収書、クレジットカードの請求書および銀行の通帳コピー)※原則として銀行振込みで対応
  • 成果物がわかる書類(写真のプリントアウト、チラシの配布リスト、など項目ごとに確認して用意する)

証拠書類は「経費項目」1つ1つに対してそれぞれ必要になります。仮に経費項目が10件ある場合、見積書から成果物がわかる書類までひととおり、10項目分用意する必要があります。(その場合、①~⑥の各書類×10項目で計60ページになります)

経費支出管理表の作成方法

公式サイトからダウンロードした経費支出管理票は、基本的に申請時と同じ項目を入力しながら、申し込み先や支払い先に合わせて分割して記述を行うなどの工夫を行います。

例えば、「ポスティング」を行う際に「チラシ印刷」と「ポスティング依頼」を別々の業者に依頼した場合、1つ1つ証ひょうを用意するとわかりやすくなります。(まとめられるものはまとめても大丈夫です)

もし経費の区分が変更になる場合、大きな修正でなければ(20%以上の変更でなければ)そのまま進めることができます。大きな変更がある際は、「変更許可」が必要になるため、事業を進める前に許可をとってから実施しなければいけません。

細かいルールについては、こちらにまとめてあります。

経費支出管理表の記入例

応募枠ごとに必要な書類について

賃上げ枠、卒業枠、インボイス枠で採択された場合、それぞれに必要な追加書類があります。

あらかじめ社労士さん等に確認し、どのような書類が必要になるかを相談しておくと良いでしょう。

各経費ごとに必要な書類について

経費支出管理表に掲載する各証拠書類は、「日付」「内容」「金額」「発注先」「発注元(自分自身)」などの情報がわかるように書類を用意する必要があります。

相手先から「請求書」はもらったけど、「見積書」や「納品書」は提供がなかった、などの場合もあるため、事前に確認しておき、合わせて提供してもらうようにお願いしておくと良いでしょう。

また、取引によって現金での支払いもよくありますが、できるだけ銀行振込みで対応を行い、証跡が残るような形で対応をしないと後から困るケースもあります。

「事業前に必要書類を確認しておき、事業と一緒に書類も用意しながら進める」という方法がオススメです。

実績報告後、差し戻しへの対応方法

提出書類の審査

実績報告を行って、1~2カ月すると事務局から通知が届きます。ほぼ1回目の報告でスムーズにいくことは難しいため、問題があった箇所を確認し、対応を行う必要があります。

差し戻しの情報を1つ1つ確認する

補助金も回号を重ねるごとに、差戻しの方法もわかりやすくなってきています。最近は不備の報告をまとめて1つのレポートにしてもらえるため、事務局から提供された「修正依頼書」を確認し、何が不足していたか?どこに問題があったか?を1つ1つ確認していきます。

基本的に「誤字脱字」「日付」「金額」「不足している書類」「取引内容と報告が合っていない箇所」などの指摘が入ることが多いです。

事務局の方も大量の資料を細かくチェックしているため、報告 → 差戻し → 再提出 → 差戻し を繰り返すと、補助金の受取りまでに時間も手間もかかります。できるだけスムーズに対応ができるよう、差戻しの内容はしっかり確認してから再提出しましょう。(時間をとられる作業になるため、予備日などを作っておくことがオススメです)

わからないことは事務局へ問い合わせる

修正依頼書を見てわからないことがある場合、直接事務局まで電話し、具体的に「何をどのようにすればいいか?」を問い合わせるのも1つの方法です。

わからないけど適当にやって、また差戻しになった場合、そこからさらに時間がかかってしまうため、できるだけ早く完了できるように1つ1つ丁寧に作業を行いましょう。

小規模事業者持続化補助金のスケジュール

応募、採択、事業実施、実績報告、需給

申請から入金までのスケジュール

小規模事業者持続化補助金の基本的なスケジュールは、下記のような流れになります。

  • 申請書類(事業計画書)の作成、応募 … 約1カ月
  • 採択結果待ち … 約2ヶ月(不採用の場合、再度申請へ)
  • 採択通知書待ち … 約1ヶ月
  • 事業開始~実施 … 約4~5ヶ月
  • 実績報告(事業が完了次第すぐに対応する)
  • 実績報告の差戻し対応 … 約1~3ヵ月
  • 補助金金額の確定、精算払い請求、入金 … 約1ヶ月

全体を通すと約10ヶ月~12ヶ月の期間がかかります。その間、かかった経費は自分で用意して支払う必要があるため、資金繰りや時間には余裕を持って対応を行う必要があります。

1年後に経過報告を行う

小規模事業者持続化補助金の入金があり、その後、1年経過すると、「事業効果および賃金引上げ等状況報告」の提出が求められます。

こちらの報告書は、wordファイルで事業経過をそのまま伝えるだけの内容になりますが、賃上げ枠で採択された場合、ここでも追加の資料提出が必要になります。

事業完了後も事業が継続できるように、持続していく必要があります。もし仮に補助事業の後に会社が閉鎖してしまったり、事業を中止するなどした場合は、その報告も必要になります。

できるだけ補助金事業を有効活用し、自社にとってプラスになる事業を行うことが大切です。そのためには、1番最初の事業計画の時点で有用な事業計画を立てる必要があります。

次回の補助金申請ができるタイミングはいつ?

次の事業計画のアイデア

小規模事業者持続化補助金に採択され、事業完了後、一定期間(約1年)が経過すると、また再びこの小規模事業者持続化補助金に申請することができるようになります。(※卒業枠で申請した経験がある場合、小規模事業者ではなくなるため、再度申請はできません)

再度申請を行う場合は、また新しい事業計画を用意し、他の補助金の申請と重複しない内容であることが条件です。

将来また別のアイデアを使って何か事業を検討する場合は、申請可能かどうかの条件を確認した上で、問題がなければまた同じように対応を行って、販路拡大や事業継続のための新しい取組みを始めることができるようになります。