【小規模事業者持続化補助金】実績報告の手順について

【小規模事業者持続化補助金】実績報告の手順について
(2025.10.06追記)
小規模事業者持続化補助金は第15回以降、独自システムを使った申請に切り替わりました。そのため、実績報告もオンラインでの対応が必要です。

「小規模事業者持続化補助金」に採択されたら、決められた期間までに実績報告を行う必要があります。この記事では、採択後の実績報告のための事前準備と報告資料作成の方法について詳しい内容を解説します。

目次

小規模事業者持続化補助金の実績報告の方法

独自システムからの電子報告

小規模事業者持続化補助金に採択され、採択通知書を受け取ったら、事業計画に従って事業を行います。

その後、補助金を適切に受取るために、事業計画に従って事業を行ったという報告を行う必要があります。実績報告には沢山の提出書類が必要です。事前に把握しておいて、後から苦労しないように、事業を行いながら同時進行で集めておくと良いでしょう。

印刷した書類を郵送で提出する

小規模事業者持続化補助金 第15回以降、独自システムによる申請・報告に切り替わり、書面での報告はできなくなりました。

独自システムのマイページから電子報告する

独自システムでの報告に切り替わってから、システム内に報告専用のフォームが用意されたため、自分自身で実績報告用のExcelやWordの資料を作成する必要がなくなりました。

経費項目に関する証せき書類は、基本的には「PDF」を用意し、証ひょうごとにファイル名を付け、全部そろったらzipファイルなどに固めてわかりやすく報告するようにします。具体的には次の書類が必要になります。

小規模事業者持続化補助金の実績報告のために必要な書類

必須書類一覧

実績報告のために必要な書類は、応募枠や経費項目の内訳によって異なります。

システムで報告する前に、小規模事業者持続化補助金の申請時に作成した書類を手元に用意し、報告のための準備をしておきましょう。

実績報告書の作成方法

従来、WordやExcelなどで用意していた「補助事業実施概要(様式第8)」「経費内訳一覧(様式第8 別紙)」はオンラインでの入力になりました。各経費項目については、それぞれの内容にしたがって、複数の書類を用意する必要があります。

経費内訳一覧の作成方法

経費項目は、基本的には申請時と同じ項目を入力しながら、申し込み先や支払い先に合わせて分割して記述を行うなどの工夫を行います。

例えば、「ポスティング」を行う際に「チラシ印刷」と「ポスティング依頼」を別々の業者に依頼した場合、1つ1つ証ひょうを用意するとわかりやすくなります。(まとめられるものはまとめても大丈夫です)

もし経費の区分が変更になる場合、大きな修正でなければ(20%以上の変更でなければ)そのまま進めることができます。大きな変更がある際は、「変更許可」が必要になるため、事業を進める前に許可をとってから実施しなければいけません。

細かいルールについては、こちらにまとめてあります。

経費内内訳一覧

応募枠ごとに必要な書類について

賃上げ枠、卒業枠、インボイス枠で採択された場合、それぞれに必要な追加書類があります。

あらかじめ社労士さん等に確認し、どのような書類が必要になるかを相談しておくと良いでしょう。

必要な提出書類

  • 「賃金引上げ特例」「賃金引上げ加点」で採択された場合
    • 賃金引上げ枠に係る実施報告書(様式第8・別紙5)
    • → 役員、専従者従業員を除く全従業員の労働基準法に基づく、直近1か月分の賃金台帳の写し
    • → 役員、専従者従業員を除く全従業員の雇用条件(1日の所定労働時間、年間休日)が記載された書類の写し
  • 実績報告書提出時点における直近1か月間の労働基準法に基づく労働者名簿の写し(常時使用する従業員のみ) ※政策加点で「小規模事業者卒業加点」を選択した場合のみ。
  • 適格請求書発行事業者の登録通知書の写し 該当者のみ。※インボイス特例を選択した上で、「適格請求書発行事業者の登録通知書の写し」または 「登録申請データの『受信通知』を印刷したもの」を添付していない場合

各経費ごとに必要な書類について

経費支出管理表に掲載する各証せき書類は、「日付」「内容」「金額」「発注先」「発注元(自分自身)」などの情報がわかるように書類を用意する必要があります。

相手先から「請求書」はもらったけど、「見積書」や「納品書」は提供がなかった、などの場合もあるため、事前に確認しておき、合わせて提供してもらうようにお願いしておくと良いでしょう。

また、取引によって現金での支払いもよくありますが、できるだけ銀行振込みで対応を行い、証せきが残るような形で対応をしないと後から困るケースもあります。

「事業前に必要書類を確認しておき、事業と一緒に書類も用意しながら進める」という方法がオススメです。

実績報告のために必要な書類
書類名 必須 記載項目 備考
見積書 /
仕様書
事業者名・取引先名・購入物名(内容)・金額・日付 市販品の店頭購入または中小企業同士の取引でない限り必要
相見積 事業者名・取引先名・購入物名(内容)・金額・日付 発注総額が税込100万円を超える取引をする場合や、中古品の購入をする場合
発注書 事業者名・取引先名・購入物名・日付・発注日・契約日・申込日 市販品の店頭購入(100万円未満)でない限り必要
※発注・契約・申込日がわかること
請求書 事業者名・取引先名・購入物名・日付・発注日・契約日・申込日 市販品の店頭購入(100万円未満)でない限り必要
支払い
証明書
  • 銀行振込の場合
    → 銀行振込受領(明細)書:事業者名・取引先名(振込先)・金額・日付・振込元銀行名(※ネットバンキングの場合は、振込完了が確認できるものが必要)
  • 現金払の場合
    → 領収書(レシート不可):書類名・業者名・取引先名・金額・但書・日付(※宛名、但書の記入漏れ注意。税抜10万円超の取引の場合は、通常、現金払い不可)
  • クレジット払の場合
    → 領収書・お客様売上票:事業者名・取引先名・金額・但書・日付
    → クレジットカード明細書:事業者名・取引先名・金額・日付・購入金額・カード利用1ヶ月合計額(分割払いや、リボ払いで事業期間内に完済できない場合は対象外)
    → 口座引落の通帳該当部分:カード会社名(振込先)・金額(カード明細の合計額)・日付 ※口座引落日が事業期間外の場合は対象外
  • 立替払の場合
    → (現金精算の場合)領収書:書類名・事業者名・従業員名・但書・金額・日付(従業員等が補助事業者に対して発行した領収書)
    → (振込精算の場合)給与明細表:従業員等に立替え分を精算したことがわかる給与明細表
  • 海外取引の場合
    → 為替レート表:第3者が作成した為替レート、外貨金額、日付、発行元が確認できる資料(為替レート表、クレジットカード明細等)
成果物
確認書
購入物、制作物、成果物等が写っている写真や報告書等 購入した機械装置、広告を掲載した媒体、展示会出展時の様子、出張時の様子、試作品開発の様子、購入した図書、車両使用時の様子、外注工事の内容等を確認するために必要
経費区分
ごとの書類
  • 機械装置等費
    → 機械装置等の写真等:購入した機械装置等の写真または内容がわかる資料。さらに単価が50万円以上の機械装置等を取得した場合は、「取得財産等管理明細表」(様式11-2)を提出
  • 広報費
    → 完了報告書・納品書:広報内容および業務完了や実施結果が確認できる資料の提出が必要。
    → 成果物:補助事業者の商品・サービスの販路開拓につながることが判明する成果物、事業者名、サービス(宣伝文句)が確認できるものを提出
    → 配布先リスト:配布先、購入量、配布量、残量 および用途が確認できる書類の提出が必要。
    → 名簿:配布先が特定できる場合は必要。(連絡先・住所不要)
  • ウェブサイト関連費
    → 完了報告書・納品書:ウェブサイトの内容および業務完了や実施結果が確認できる資料の提出が必要
    → 成果物:ウェブサイト等を作成した場合には、画面のプリントアウトまたはデータを収めたDVD-Rを提出(サイトのURL、補助事業名、補助事業計画にもとづいたサービスや広報の内容がわかるもの)
  • 展示会等出展費
    → 展示会等の出展 要領・規約等:出展要領、規約、HPサイト またはその他資料(展示会名、場所 および日程が確認できるものが必要)
    → 出展記録:写真や出展者リストのほか、出張報告等といった、展示会に参加したことがわかる書類の提出が必要
  • 旅費
    → 旅費明細書:出張者、出張先、日程、目的、経路および金額が確認できる書類の提出が必要
    → 出張行程:インターネット経路検索、または料金表等
    → 航空券の半券および領収書:飛行機を利用した場合には、航空券の半券または搭乗証明書および航空券の領収書の提出が必要
    → 宿泊費等の領収書等:宿泊した場合には、宿泊費の領収書の提出が必要
    → 出張報告書:補助事業者が作成した、出張者、出張先、日程および業務内容が確認できる書類の提出が必要
  • 新商品開発費
    → 完了報告書・納品書:開発内容および業務完了や実施結果が確認できる資料の提出が必要
    → 受払簿:購入物、日付、受入量、使用量および残量が確認できる書類の提出が必要
  • 資料購入費
    → 資料の写真・コピー等:購入した資料の表紙・裏表紙のコピーや内容(単価、金額、書名)がわかるもの
  • 借料
    → 機器・設備等使用簿:機器名、使用日、使用時間および使用内容が確認できる書類の提出が必要
  • 設備処分費
    → 廃棄・処分(完了)証明書:設備機器等を廃棄・処分、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復した場合は、その証明書または完了したことが証明できる書類が必要
    → 賃貸借契約書:借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復した際は、使用者であることが法的に確認できる書類が必要
  • 委託・外注費
    → 完了報告書・納品書:依頼内容および業務完了や実施結果が確認できる資料の提出が必要 ※工事を外注する際は、工事の実施が確認できる資料の他に、工事『前後』の写真

補助事業の手引き(第16回)により具体的な詳細が書いてあります。

実績報告後、差し戻しへの対応方法

提出書類の審査

実績報告を行って、1~2カ月すると事務局から通知が届きます。ほぼ1回目の報告でスムーズにいくことは難しいため、問題があった箇所を確認し、対応を行う必要があります。

差し戻しの情報を1つ1つ確認する

補助金も回号を重ねるごとに、差戻しの方法もわかりやすくなってきています。最近は不備の報告をまとめて1つのレポートにしてもらえるため、事務局から提供された「修正依頼書」を確認し、何が不足していたか?どこに問題があったか?を1つ1つ確認していきます。

基本的に「誤字脱字」「日付」「金額」「不足している書類」「取引内容と報告が合っていない箇所」などの指摘が入ることが多いです。

事務局の方も大量の資料を細かくチェックしているため、報告 → 差戻し → 再提出 → 差戻し を繰り返すと、補助金の受取りまでに時間も手間もかかります。できるだけスムーズに対応ができるよう、差戻しの内容はしっかり確認してから再提出しましょう。(時間をとられる作業になるため、予備日などを作っておくことがオススメです)

わからないことは事務局へ問い合わせる

修正依頼書を見てわからないことがある場合、直接事務局まで電話し、具体的に「何をどのようにすればいいか?」を問い合わせるのも1つの方法です。

わからないけど適当にやって、また差戻しになった場合、そこからさらに時間がかかってしまうため、できるだけ早く完了できるように1つ1つ丁寧に作業を行いましょう。

小規模事業者持続化補助金のスケジュール

応募、採択、事業実施、実績報告、需給

申請から入金までのスケジュール

小規模事業者持続化補助金の基本的なスケジュールは、下記のような流れになります。

  • 申請書類(事業計画書)の作成、応募 … 約1カ月
  • 採択結果待ち … 約2ヶ月(不採用の場合、再度申請へ)
  • 採択通知書待ち … 約1ヶ月
  • 事業開始~実施 … 約4~5ヶ月
  • 実績報告(事業が完了次第すぐに対応する)
  • 実績報告の差戻し対応 … 約1~3ヵ月
  • 補助金金額の確定、精算払い請求、入金 … 約1ヶ月

全体を通すと約10ヶ月~12ヶ月の期間がかかります。その間、かかった経費は自分で用意して支払う必要があるため、資金繰りや時間には余裕を持って対応を行う必要があります。

1年後に経過報告を行う

小規模事業者持続化補助金の入金があり、その後、1年経過すると、「事業効果および賃金引上げ等状況報告」の提出が求められます。

こちらの報告書は、wordファイルで事業経過をそのまま伝えるだけの内容になりますが、賃上げ枠で採択された場合、ここでも追加の資料提出が必要になります。

事業完了後も事業が継続できるように、持続していく必要があります。もし仮に補助事業の後に会社が閉鎖してしまったり、事業を中止するなどした場合は、その報告も必要になります。

できるだけ補助金事業を有効活用し、自社にとってプラスになる事業を行うことが大切です。そのためには、1番最初の事業計画の時点で有用な事業計画を立てる必要があります。

次回の補助金申請ができるタイミングはいつ?

次の事業計画のアイデア

小規模事業者持続化補助金に採択され、事業完了後、一定期間(約1年)が経過すると、また再びこの小規模事業者持続化補助金に申請することができるようになります。(※卒業枠で申請した経験がある場合、小規模事業者ではなくなるため、再度申請はできません)

再度申請を行う場合は、また新しい事業計画を用意し、他の補助金の申請と重複しない内容であることが条件です。

将来また別のアイデアを使って何か事業を検討する場合は、申請可能かどうかの条件を確認した上で、問題がなければまた同じように対応を行って、販路拡大や事業継続のための新しい取組みを始めることができるようになります。