「起業」「フリーランス」「副業」など、コロナ禍でテレワークが活発になり、在宅フリーランスとして個人事業をする方も増えています。
うちにも他業種からの副業希望でお問い合わせが増えていますが、やみくもに活動するよりも、事前に方針を検討する方が効果的です。この記事では「フリーランスが効果的に営業するためには何が必要か?」についてまとめました。
フリーランスになることとは?
フリーランスは自分自身で仕事を獲得し、契約によって報酬を得るスタイルの働き方です。始めたばかりで人脈がない場合、最初の課題は「安定して仕事を得ること」になります。
会社員のうちに副業しておいて、ある程度の基盤を作っておくとか、勤めている会社から円満退職してそのまま下請けとして仕事を受注するなど、まず収入を得るための手段が必要になります。
フリーランス実体調査
「内閣官房による統一調査」のフリーランス実体調査資料によると、フリーランスの統計データには次のような結果が公表されています。
フリーランスの年齢層
「内閣官房による統一調査」のフリーランス実体調査資料よりフリーランスとして仕事をしている人たちの年齢層は40代以上が全体の70%以上という統計がでています。ある程度、実務経験があり、1人で色々こなせるようになった年代で独立したと考えることができます。
フリーランスを選択した理由
フリーランスを選択した理由の上位は、次のような回答があります。組織や時間、場所に縛られず、自分自身の能力を活かして能動的に活動したいという欲求を見ることができます。(私自身もそうでした)
- 自分の仕事のスタイルで働きたい(57.8%)
- 働く時間や場所を自由にしたい(39.7%)
- 収入を増やしたい(31.7%)
- より自分自身の能力や資格を活かしたい(27.3%)
- 挑戦したい、やってみたいことがある(13.5%)
- ワークライフバランスを良くしたい(11.9%)
フリーランスとして働く上での障壁
アンケートによると、フリーランスには次のような悩みを持つ人たちが多いようです。
- 収入が少ない・安定しない(59.0%)
- 1人で仕事を行うため、他人とのネットワークを広げる機会が少ない(17.2%)
- 仕事がなかなか見つからない(15.3%)
- 仕事が原因で負傷した、疾病になった場合の補償がない(12.7%)
- 就業時間や休日に関する規則がない(11.1%)
- 契約条件があいまい・事前に明示されない(10.7%)
- 社会的信用を得るのが難しく、フリーランスに対する偏見や誤解がある(10.7%)
フリーランスは自営業(個人事業主)になるため、営業活動から実務、バックオフィス業務(青色申告や書類作成、行政手続き等)まで全ての業務を1人でこなす必要があります。実務だけであれば、時間の確保は会社員と同じでも問題ありませんが、「営業」「打合せ(または相談)」「条件の交渉」「経理業務」など、実務以外で対応しなければいけない作業も多く発生します。
さらに、状況に応じて変動が起こるため、安定しなくなる可能性の方が高くなります。このあたりを上手に組立てながら活動しないと、フリーランスとして継続していくことが難しくなっていきます。(拘束されない自由の代わりに、トータルの活動時間に対して収入が減る可能性も高くなります)
起業した先のことを考える
フリーランスになることで、「補償がなく収入が安定しない」「自分自身で何でもこなす必要がある」、などの今まであった環境が大きく変化する可能性があります。
最初のうちは、勤めていた会社からそのまま仕事をもらって下請けとして受注したり、エージェントなどを通じて案件を獲得するスタイルのフリーランスとしてチャレンジしてみてもいいかもしれません。
ですが、「誰かがとってきた仕事をもらう」という受け身の対応を続けてしまうと、考え方がどうしても会社員の時のままになってしまいがちです。
自分自身の意識を改革するには、「フリーランスとして仕事を続ける」のか、「法人化を目指す(事業規模を大きくする)」のか、将来自分自身がどうなりたいかを考えながら、対応していく必要があります。
効果的な営業活動の方法
自分の業務領域によっても、活動方針は変わってくると思いますが、仕事を得る方法にはいくつかの方法があります。(ここではあくまでBtoBの場合で解説します)
まず最初に「何を商材にするのか」「ターゲットとなる顧客はどこにいるのか?」のマーケティング分析を行い、自身の売りになるPRポイントを資料化しておくと良いでしょう(商材としてPRするものがあった方が、営業活動の際に伝わりやすくなるためです)
知り合いから仕事をもらう
すでに知り合いが独立していて、ある程度軌道にのっている状態であれば、下請けとして仕事をもらうことができます。または他業種の場合、直接仕事を請けることもできます。
お互いの人となりもわかったうえで依頼してもらえるので、スムーズに仕事が進みやすく、話もしやすいはずです。
受注単価は、相手の予算や、こちらのスキルに対する評価で変わってきます。相手との関係性や、ニーズの度合いも影響します。1クライアントに依存せず、仕事を得る手段の1つとして考えておくと良いでしょう。
同業で友達として付き合えるような相手だと、良いビジネスパートナーに変わっていく可能性もあります。(逆に友情価格で安くサービス提供しないといけなくなる可能性もあります)
クラウドソーシングを利用する
フリーランスの中身によっては、クラウドソーシングを利用する方法もあります。特に、IT系やデザイン職だと、オンライン上のデータのやりとりだけで仕事が成立するため、そういったサービスを利用することも方法の1つです。
Lancersやクラウドワークス、ココナラなどが該当します。
副業で参加している人も多く、案件単価が安いものが多いのも特徴です。(差別化が難しく、競合が多いため価格競争になりやすい傾向にあります)
また、クライアントの質もピンからキリまでで、「コンペ」という形を利用して、提出物や提案をテーブルに並べ、応募者を品定めして満足してしまう人もいます。
一般的な価格帯で報酬が出されている案件には、人が集中することが多いです。副業で参加して、実績を積んでレビューを増やしておき、仕事を請けやすい環境を用意してから、フリーランスで使うと効率的でしょう。
派遣やエージェントを探して、仕事をする
エージェント契約によって、就労する方法もあります。時給制で働くことになり、アルバイトや派遣のような形になります。
在宅ワークなのか、相手先企業で働く常駐タイプかは案件にもよりますが、日金を得るための手段の1つとして考えると良いかもしれません。
ご自身のスキルによっては案件単価が高いものに参入することもできるため、安定した収入を得るには良い手段だと考えることもできます。
WebサイトやSNSなどから集客する
Webサイトを用意して、SEO対策しながら集客する方法もあります。起業したばかりで急にホームページだけを用意しても、ここからいきなり仕事がとれるケースは少ないと思いますが、長い目で見ると自営業らしい活動につながります。
あらかじめWebサイトにコンテンツを用意しておき、SNSを使って集客すると効率的です。(法人化する場合は、資金繰りの際にも必要になるため、集客の有無に関わらず事前に用意しておくと便利です)
インターネット集客は即効性が低いため、実際の営業活動とセットでやることで相乗効果が高まります。(予算がある場合、LPと広告を使って集客する方法もあります)
人脈を増やして仕事をもらう
どこかのビジネスグループに所属したり、異業種交流会に参加して知り合いを増やすなど、自分自身を知ってもらいながら仕事を獲得する方法もあります。
「人脈は大切」といいますが、1度限りの交流会などに参加するだけでは、人脈を広げることは難しいため、定期的に顔を合わせるような活動に参加してみると良いでしょう。
インターネット上で展開されているビジネスグループには「ネットワークビジネス」のようなものもあり、うっかりすると詐欺のような場合もありますので、そこは自分の裁量で判断する必要があります。(高額な商材にいきなり飛びつかないようにしましょう)
営業活動は、「人と人とのつながり」ですので、対面で直接話した方が記憶にも残りやすくなりますが、時間短縮のためにZoomを活用して話すなど、工夫して行うことも大切です。
結果が出しやすいところを主軸にしましょう
起業は「行動が大事」、「積み重ねが大事」といいますが、やみくもになんでも取り入れるのではなく、自分自身に合った方法で活動しないとストレスになってしまいます。
無理なく結果につながりやすい場所を探して、継続できるものを探すことをオススメします。
自己分析を行い、提供価値を明確にする
個人事業を始めるにあたって、必ずやっておくべきことに、「自分自身を理解する」というものがあります。(マーケティングでいうところのSWOT分析です)
自分自身のことを明文化(言語化)できるかどうかで、相手にも説明しやすく伝わりやすくなります。
「どんなスキルを持っているのか」「どんな経歴を持っているのか」「過去にどんな経験を積んできたか」等の履歴書(職務経歴書)をわかりやすく資料化しておくと、印刷して配布したり、インターネットで集客する際に便利です。
「相手(ペルソナ)にもたらすことができる価値(ベネフィット)」も意識して考えます。
例えば、「今すぐWebサイトが欲しい人」に対してなら、「どのようなWebサイトを、いつまでに、どのくらいの価格で、どのような内容で提供ができるか」などです。
まず、自分の言葉で「自分自身のことを説明する」ことが第一ですので、定期的に自己分析を繰り返しながら見直していきましょう。
人とのつながりを作ってビジネスにする
ビジネスは、「人」と「人」がつながって、初めて成立します。
マッチングサービスなども同じですが、サービスによってつながっているわけではなく、「人」と「人」との間にある、「需要と供給」が成立してビジネスにつながっていきます。
(少なくとも潜在的な)需要があって、相手を信用することができて、初めて「取引」になるため、人脈を広げつつ(知り合いの数を増やしつつ)、需要が発生したときに対応できる状況を作り出しておきましょう。
日頃から問い合わせしやすい窓口を用意して、気になる人が気になったタイミングで聞いてもらうのが親切な方法です。数字や形にとらわれすぎず、マイペースに活動範囲を広げていきましょう。