「マーケティング」という言葉を聞いたことはありますか?マーケティングは20世紀初頭にアメリカで始まった考え方で、需要を作り出すことや、需要に向けた販売拡大のための効果的なアプローチを行っていくための方法です。
マーケティングにはさまざまなアプローチ方法がありますが、この記事では、中小企業の方がデジタル技術を活用することによって、得ることができるマーケティング効果についてまとめました。
目次
デジタルマーケティングとは?

デジタルマーケティングとは、インターネットなどのデジタルメディア(ホームページ・SNS・メール・アプリ・検索エンジン・デジタル広告等)を使って、見込み顧客(または潜在見込み顧客)の心理や行動を分析しながら、各ツールによって製品やサービスの情報を配信するマーケティングのことです。
「デジタルによるデータ収集」+「マーケティング活動」をセットにすることで、より広範囲なエリアに対して、企業活動を行うことが可能になり、顧客とのコミュニケーションが容易になることが特徴です。
マーケティングをやることによって競合他社との差がつく

「中小企業」でホームページ制作する際、制作後のマーケティングのこと(データ分析しながら効果測定(KPI)および改善するところまで)も考えて、Webサイト制作に取り組むところは少ないです。
制作とマーケティングにかける予算と人材が課題
マーケティングに取り組む前提でWebサイト制作を行おうとすると、専門的な知識や体系的な経験が必要になり、ホームページ制作会社・マーケティング支援会社に支払う費用も大幅に増えます。
また、社内で対応していくにしても、マーケティングにはあらゆる手法があり、どこが効果的で何をやるべきかの取捨選択に迷うことも珍しくありません。
インターネット黎明期の1990年~2010年頃まででしたら、「ホームページは作れば仕事する」時代がありました。しかし現在のIT業界は大きく進化し、「ホームページ」に影響するデバイス(スマートフォンやデジタル家電)、AI、ビッグデータなどの新しい技術もどんどん増えています。
これらは相互に影響しあい、1つの仕組みとして機能しています。
全てを網羅的に対応しようとするとハードルは高くなりますが、他社がやっていないところに積極的に取り組むことで、競合他社への優位性につながる可能性がでてきます。
海外のIT企業の目覚ましい進化が背景に
2022年11月にOpenAIからChatGPTというAIチャットボットがリリースされました。それに続いてGoogleも同様のAIツールをリリースしようとしています。
AIが活躍する時代がすぐそこまで来ており、人間の力だけでは作業量が追い付かないようなITツールの進化があります。
海外ではGAFAMを中心にIT企業によるイノベーションが目覚ましい状況にあります。国内の企業は、まだここに追い付いていないところが多いです。
新しい技術への積極的な取り組みを行うことで、そこからさらに他社との差別化につながる可能性があります。
新しい技術の導入は大手企業が積極的
大手企業は予算が大きくとりやすいため、新しい技術の導入も早いところが多い傾向にあります。
マーケティング自体はおよそ30年ほど前からありましたが、デジタル技術と組み合わせたマーケティングツールの利用について、一般企業よりも大手企業の方が導入率が高い状況です。
上場企業のMA導入率は11.3%
【調査結果抜粋】上場企業におけるMA導入率は、1年間で2.4ポイント増加
2021年 Nexal.Incの調査より ![]()
新しい技術開発が進むと、それにともなって人々の生活にも変化がおとずれます。
通信利用動向調査※1によると、過去25年でインターネット普及率は3%から100%に近い状態まで増加しました。2020年時点で、13歳~60歳までのインターネット普及率は約98.5%、スマートフォンによるインターネットの利用率も年々増加傾向にあります。
時代の変化をいち早くとらえ、そこに必要な取り組みを行うことで、今後を勝ち抜くための施策が打てるようになっていきます。
総務省 令和元年版 通信利用動向調査 参照SEO対策に強いホームページが作れるようになる

SEO対策は、Search Engine Optimize(サーチエンジンオプティマイズ)の略で、ホームページを検索結果ページの上位に表示させる作業のことをいいます。
ホームページは、閲覧されて初めて意味があり、アクセスがないまま放置していても、販促効果は期待できません。
デジタルツールの活用で「見える化」できる
SEO対策を行うためには、「Google Analytics」や「Google Search Console」といった「アクセス解析ツール」を使うことが前提になります。
やみくもに施策を行っても、効果的なSEO対策は期待できず、努力が水の泡になってしまう可能性もあります。
まずは現在の状況を把握し、問題点を見つけることによって、改善につながる施策を検討することができるようになるため、アクセス解析ツールを使ってみることが大切です。
SEO対策はGoogle対策が基本
2023年現在、日本国内の検索エンジンのシェア率は、Googleが77%を占めています。
ほとんどの人が日常的にGoogleのサービスを利用しており、Googleの検索結果の上位に表示されることで、多くのアクセス数を稼ぐことが期待できるようになります。
引用元: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share
Googleのアルゴリズムの変化を知る
Googleは、検索エンジンを年々アップデートしており、1990年代から2020年にかけて、検索エンジンの持つ機能を大幅に向上させてきました。
ひと昔前であれば、「SEO対策」=「キーワード対策」で、「該当キーワードをmetaや本文に多く埋め込むことが重要」という認識で、対策を行うところも多く存在していました。また、外部リンクの持つ効果を絶大視され、関連性のないWebサイトからでも外部リンクを大量に張るなど、SEO対策にもあの手この手が使われてきました。
現在のGoogleの検索エンジンは、そういった不正に操作された情報に対応するため、検索エンジン自らが取り締まりを行うようなチェック機能がついています。
Googleにとっての目標は「Googleの検索エンジンをより多くの人に使ってもらうこと」ですので、Googleの利用者にとって不利益が発生する状況を好みません。つまり、「Googleの利用者にとって役に立つ情報を提供するWebサイトが1番優れている」という評価になっています。
コンテンツマーケティングと設計を意識することが大切
優れたWebサイトとして評価されるためには、掲載する情報(コンテンツ)が1番大切です。効果的なコンテンツを生み出すために、コンテンツマーケティングを行います。
また、技術的な施策として、ページ表示スピードの調整、データ構造設計の見直し、スマートフォン最適化、画像最適化、アクセシビリティ強化など、細かい調整も必要になっていきます。全ての作業に対応するためには、大幅な作業時間が必要になります。
コンテンツはその都度見直すことができますが、ホームページの構造設計は後から修正しようとすると、全体に大きく影響を与える可能性があるため、最初の設計が大切です。
事前調査を行い、最初からきちんと設計しておくことで、後からでも使いやすく、SEO対策としても効果が期待できるWebサイトが作れるようになります。
利用者から反響を得られるホームページが作れる

デジタルマーケティングを実施するメリットに、前述のとおりコンテンツマーケティングの存在が大きな理由にあります。コンテンツマーケティングとは、Googleが評価する「利用者にとっての価値があるWebサイト」を制作するための施策のことです。
コンテンツマーケティングを実施する前には、Webサイトをきちんと設計して、インターネット利用者のニーズに合った内容を用意していく必要があります。
ペルソナに向けたコンテンツの用意
いつ、どこで、誰が、誰に向けて、何を、どのタイミングで、どういう理由で、どのようにして、のような、5W1Hを基本に、マーケティングフレームワークを使用したり、身近にいるお客さまの声を元にペルソナを作成するなどの取り組みも行います。
さらに「カスタマージャーニーマップの作成」を行って、多くのインターネット利用者の中から、商品やサービスを利用しそうなユーザーを抽出し、その相手に向けて、訴求力のある中身(コンテンツ)を作っていきます。不特定多数を対象にしていないため、相手に伝わるメッセージ性が強く、届きやすくなります。
また、この作業を繰り返すことによって、「価値のあるコンテンツ」を生み出すことにつながり、結果としてWebサイトに訪問した利用者からの反響も得られるようになっていきます。
「育つWebサイト」を作ることができる

Webサイトは放っておけば、「自動で育つもの」ではありません。状況に合わせて適宜見直しを行ったり、利用者が求める情報を調査して「満足度」を高めるための改善も必要になっていきます。
MAなどのデジタルマーケティングツールを導入すると、Webサイトにサイト解析機能をつけることができるようになります。これは、Webサイトを訪問した利用者が「今なにをやっているか」「何を求めてやってきたか」などの情報収集を行い、人間に理解しやすくできるように作られたものです。
さらに、AIと組み合わせた解析機能なども開発されており、AIによって「統計的に傾向分析された情報」を、人間が1つ1つ手作業で分析することなく利用することもできます。
MAなどのデジタルツール活用で効果アップ
Webサイトの利用状況を裏側から見ることによって、利用者の反応を追いかけていき、改善点を見つけることもできます。
さらに機能的なMAツールを利用すると、1人1人の利用者に「スコア(得点)」をつけて、「購買意欲に対する本気度」を見える化したり、どのタイミングでアプローチすればもっと販促効果が上がるかを測定するような機能を持つものもあります。
サイトの種別によって、機能を使い分ける
MAの活用方法として例えば、ECサイトで、売上に影響する「カート落ち」を防ぐために、利用者が迷っているタイミングで「クーポン」を発行したり、行動分析によって「この商品もオススメです」と相手が好みそうな商品を提案したり、リアルタイムな接客ができるWebサイトを用意することもできるようになります。
一般的な企業サイトでは、そこまで複雑な解析や運用を行う必要はありませんが、Webサイトへのアクセス数を増やしたり、問い合わせ件数や購入件数を増やすために、臨機応変な活用方法も期待できます。
デジタルツールの導入を行うことによって、より便利に、ホームページを育てることにつなげていくことにも役に立ちます。
利用者の消費行動に関する変化に対応できる

イマドキの消費者は、何かモノを購入する際に「店頭」だけでなく「インターネット」を利用して情報収集し、「口コミ」「おすすめ」「価格」「サービス内容」などを比較検討した上で、「購買」までの意思決定にいたる人の数が増えています。この「購入まで」の行動の中に、インターネット利用が86%の割合で含まれていると言われています。
つまり、インターネット上に情報がないということは、比較検討リストの中に入っておらず、インターネットを利用する人たちに対する営業活動ができていないということになります。
従来型の「足を使った営業活動」で顧客を訪問し、商品をアプローチしても、きっと利用者は「その商品」についてインターネットから情報を収集し、購買するかどうか決定することが考えられます。
消費者の行動を予測してWebサイトを用意しておくことによって、ゴール(目的)までの導線設計ができるようになります。
また、IoT家電やポスレジ、スマホアプリなどとWebサイト導線を組み合わせることによって、リアルとインターネットを相互に行き来する環境ができ、消費者にとってより利便性の高い活動を提供することができます。
社内のITリテラシーが高まっていく

Webサイト制作をして、運用改善を行うためには「会社の中にいる人たちの、Webサイトへの意識を変化させていく」作業も必要になります。
サーバー構築や、プログラミングなどの専門的な作業に関しては、アウトソース(外注)に出して、広報活動や内部施策などできるところは社内でやる、というスタイルがおすすめです。
例えば、FacebookやInstagramなどのSNSの運用や、ブログの更新などは社内で対応します。外部委託することも可能ですが、できればその業種の専門的な情報発信や、新着記事の更新などは会社内に担当者を作って運用を行った方が効率的です。
作業自体は、ITの専門知識がなくても、WordやExcelの操作ができるレベルであれば誰にでもできる作業です。パソコン1台、スマートフォン1台あれば、対応することができます。
広報担当者に仕事を任せてみる

Webサイト運用・広報活動を行う中で担当者に知識を身につけてもらい、結果を少しずつ社内で共有していくことで、全体的なITのリテラシーも高まるようになっていきます。
それまで苦手意識を持っていた「IT」という分野が、そう複雑ではなく、誰にでもできるものだった、という認識に変わっていくはずです。ITに対する苦手意識が少なくなっていくと、次は新しい取り組みへ発展させていくことにつながっていきます。
Webサイト運用は、スマホやPC操作が得意な若い世代や、一般事務担当者でも作業が可能な分野です。
操作方法を覚えて実施しながら、できれば専門的なアドバイザリーを配置することで、より運用効果の高いWebサイト活用と人材育成へつながっていきます。
メディアに強い企業に成長することができる

デジタルマーケティングを活用し、1つ1つのデジタルメディアできちんと運用を行っていくと、それぞれのチャネルがお互いに影響しあい、相互的に効果を発揮するようになっていきます。
このことによって、母体となる「Webサイト」が力を持つようになり、各情報チャネルからも集客・販促ができるようになるため、長い目で見て、使える自社メディア(オウンドメディア)が育っていくようになります。
メディアを育てるために必要なものは「マーケティング」と「人材(運用者)」です。メディア育成のために必要な時間は、1日のうち1時間と決めて運用をスタートすることもできます。
業務の空き時間を効果的に埋めることもできますし、無理なく実践することもできます。
ノウハウは少しずつ構築できます。利用者にとって有益な情報は何でしょうか?問題を解決すること?共感すること?感動を共有すること?相手の行動欲求に応じた施策を考えていきます。
デジタルマーケティングを実践してみよう!
利用者にとって価値のあるコンテンツを作っていくことの根底にあるのは「相手に対する思いやりの心」です。デジタルマーケティングでAIなどが解析してくれた情報を、人の手によって、誰かに届けるという手間をかけて、ようやく良質なコンテンツにつながっていきます。
まず、取り組んでみることが大切です。
データ収集しながら「有効な手段」に昇華させていくことで、ITに強い企業に成長していくことができます。そうなった時、貴社の持つパワーは、大きな力になっているはずです。